「ファンが群がってきて迷惑」 ⇒ 本当は「他の選手の迷惑にならないで」とお願いした
ヨナの「問題発言」とされるものの中に以下のようなものがある。
「私が練習することでファンが群がってきて、練習の迷惑」
この「発言」には、わざと省略している部分がある。
「他の練習している選手への(迷惑)」という点である。
そしてヨナの実際の文章は、「私のために他の選手たちに迷惑を与えたくないのです」であった。
つまり、ヨナは他の選手の迷惑にならないように、責任を持って、自分の言葉で、ファンにお願いをしたのである。
◆◆当時のニュース◆◆
ヨナはかつてブログで、韓国人のファンの方々へ、マナー改善のお願いをした事があった。
この時のブログの内容はニュースになり、評判になった。
当時のニュースを紹介しよう。
【引用開始】
05/03 Chosun Online | 朝鮮日報
フィギュア:キム・ヨナがミニHPでファンにお願い
キム・ヨナ(18)=軍浦スリ高=が、自身のミニホームページに「辛口コメント」を掲載した。
キム・ヨナは1日午前1時44分ごろ、ミニホームページの日記の中で「韓国の選手ということでこれまで残念だったことが2度あります。3月の世界選手権に向かう前の最後の練習とつい数時間前に行った今日の練習のときのことです。みなさん、選手たちがスケート場で練習しているときは、心の中で応援してください。選手たちは動物園の動物じゃないんです」と綴った。
キム・ヨナは17日と18日の両日に行われる「KCCフェスタ・オン・アイス2008」を控え、1週間に6日間、ソウル蚕室のロッテワールド・アイスリンクなどで練習をしている。午後9時30分から10時30分までが「キム・ヨナタイム」だ。
ところが悲しいことに、キム・ヨナは世界最高峰の選手であるにもかかわらず、韓国には彼女専用の練習場がない。
ロッテワールドでも他の選手らの練習場を借りている身だ。もし彼らが拒否した場合、キム・ヨナは別の練習場を探さなければならない。
キム・ヨナの練習時間はロッテワールドの閉場時間(午後11時)と重なることが多い。そういったことから利用客から大声で名前を呼ばれたり、カメラのフラッシュをたかれたりすることが日常茶飯事となっている。
こうなると練習場を借りている身のキム・ヨナとしては、他の選手らに申し訳が立たない。ましてロッテワールド・アイスリンクは、キム・ヨナが最も気に入っている練習場なだけに、彼女としては頭の痛いところだ。
キム・ソンウォン記者 スポーツ朝鮮/朝鮮日報JNS
【引用ここまで】
◆◆原文の翻訳◆◆
では実際に、キム・ヨナは自身のホームページでどのようなお願いをしたのであろうか。
日本の記事では探す事ができなかったので、韓国語のサイトを探してみた。
ヨナの本文が転載されているページがあったので、翻訳してみた。
【引用開始】
http://spn.chosun.com/site/data/html_dir/2008/05/01/2008050100916.html
私が韓国のフィギュア選手である事が、
本当に悔しくて悔しかったことが、ちょうど二回あります
3月に世界選手権へと出国する前の、最後の練習の日と、
そしてわずか数時間前にあった今日の練習です
皆さん、
スケート場を通り過ぎて、
わたしが練習していたら、眺めるだけで心の中で応援してください
練習中に最も大事なのは集中力です
皆さんが応援して下さる気持ちは、当然理解していますが、
練習するときだけは、静かに選手たちの精神が乱れないようにしてください
わたしはほかの選手たちの合間に練習するのであって、私だけの練習時間ではないのです
私さえいなければ静かに集中して,練習することができる選手たちが、
私のために人々が群れをなして、行き来して、騒々しいような環境で練習するのでは、
わたしの心は落ち着きません
私のために他の選手たちに迷惑を与えたくないのです..
練習の邪魔をされたくないのです..
特に写真を撮るときにはフラッシュは使わないでください。短い瞬間だが選手には本当に危険で
す。どうかお願いします
私たち選手たちは動物園の中にある動物ではありません。
その上、365日寒くなくて暖かくて、選手たちが少しでも気楽に練習することができる唯一のリンク上で..
本当にその時だけはちゃんと訓練することができるように、皆さんどうか助けて下さい
頼むからお願いします。。T_T
【引用ここまで】
◆◆発言の意図◆◆
つまり、ヨナは練習中に、自分のファンが群がってきて、フラッシュをたいて写真を撮ったり、騒いだりする事で、一緒に練習している他の選手の迷惑になることが、耐えられなかったのだ。
自分のせいで、周りに迷惑がかかってしまった事に、責任を感じてしまったのだ。
ヨナは、自分を応援してくれるファンの行動が、他の選手たちの迷惑になることが、どうしても耐えられなかったのだろう。
ヨナのファンの行動は、自分自身の責任であると感じたのだろう。自分さえいなければ、自分のファンが、他の選手の貴重な時間を邪魔することはなかったかもしれない。
ヨナは、責任を感じ、自分のホームページで、厳しい言葉で、ファンにお願いをした。
責任感もあるし、行動力もある選手だと思う。
また「韓国のフィギュア選手である事が悔しかった」というのは、ヨナは国際大会で優勝するような代表選手であるにも関わらず、遊園地のスケート場で練習するしかないという環境の悪さも含めての事であろう。
ヨナはファンとの交流イベントなど、頻繁に参加しているし、ブログでファンと交流したりもしており、ファンをとても大事にしている。
そんなヨナが一部のファンに苦言を呈さなければならない程に、困ってしまったのであろう。
しかし残念ながら、韓国の一部のメディアでは、この発言の「韓国人であることが恨めしい」、「選手たちは動物園の中にある動物ではありません」の箇所だけが、クローズアップされてしまった。
【引用開始】
http://www.chosunonline.com/article/20080510000019
2008/5/10 朝鮮日報
キム・ヨナ「韓国人であることが恨めしいというのは誇張」
「フィギュア界の妖精」キム・ヨナは9日午後、SBS公開ホール(ソウル市江西区登村洞)で行われた『ザ・スターショー』の収録に姿を見せた。そして今月1日、自身のミニホームページに「自分が韓国のフィギュアスケート選手だということを恨めしく思ったことが2回ある」と書き、批判されていることに関して「やるせない思い」と語り、真情を吐露した。
キム・ヨナはミニホームページに「自分が韓国のフィギュアスケート選手だということを恨めしく思ったことが2回あります。それは3月に世界選手権に向け出国する前日の練習、そして数時間前に行った練習のときです」と書き込んでいた。
キム・ヨナによると、こうした文を書こうと思ったのは、自分を見るために集まった人々により、その日に練習していたほかの選手たちに不本意ながら迷惑がかかってしまったため。キム・ヨナは「応援してくださる気持ちはよく分かるのですが、スケート場を通りかかったときにわたしが練習していたら、眺めるだけにして心の中で応援してください」とミニホームページでお願いした。
ところが、キム・ヨナの文は「韓国のフィギュア選手であるということが恨めしい」という見出しで報道され、ネットユーザーたちの間で誤解を招いた。まるで「韓国人であることが悔しく、恨めしい」という意味のように伝わったのだ。
キム・ヨナは「たとえ数人にでも、フィギュア界の現実をお知らせしたくて掲載した文でしたが、(本来の)意図とは関係なく、メディアの過度な関心により誤解を招くことになり、やるせない思いです」と今の心境を語った。
【引用ここまで】
このようにヨナの意図と関係なく、発言の一部が誇張されて伝えられ、批判されるという事は、韓国においてさえ、起こる。
伝えたいことを伝えるのは本当に難しい。だがヨナの言うように、たとえ数人にでも本当の事が伝われば良いと、私は思う。
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